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ポストカード 【漢文】

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傷心秋巳到 (傷心、秋已(すで)に到る)
嘔血骨猶存 (嘔血、骨、猶(な)お存す)
病起期何日 (病起、期(き)するは何(いず)れの日ぞ)
夕陽還一村 (夕陽、一村(いっそん)に還(かえ)る)

【訳】
秋に病状が悪化し辛い中、
激しい吐血をし、我が身はもう骨ばかりである。
病気が治るのはいったいいつの日かと思い外を見ると、
夕陽が村に落ちていくところであった。

絵ハガキに添えられているこの漢詩は、
夏目漱石が明治43年(1910年)10月7日に、
伊豆修善寺温泉の菊屋旅館において、
転地療養中に詠んだ五言絶句です。

一年の終わり近くである秋に一日の終わり近くの夕陽を重ね、
それに、自身の終わりが来ない病気を対比させたことにより、
漱石の病による果てしない孤独がひしひしと伝わってきます。

漱石が味わった病の孤独は、
100年たったデジタルの現在でも変わりありません。

しかし毎年の世界啓発デーやCFS支援ネットワークの活動は、
その孤独を少しだけやわらげ、
未来への希望をもたらしてくれると、
この絵ハガキの作者は感じています。
この絵ハガキの作者はME/CFSの当事者です。
病の孤独と未来への希望を、
作者は一枚の絵ハガキに込めました。

※漢詩の書き下し文・訳・解釈は、筆者によるものです。
 学術的な正しさが保証されたものではないことを
 ご了承下さい。

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